ドカベン

1977年、鈴木則文監督作品。ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショー。
「主役に徹底的に華がない」、「なぜか柔道編」、「殿馬役が川谷拓三」など、半ば伝説化している映画でありながら、一方では一時期土曜日の午後とか日曜日の夕方とか、とにかく脳が死んでるような状態のときによくテレビでやっていた。
まあ、ちょこちょこ見てはいたんだけど、最初から最後までキチンと見ると、納得するほど「鈴木則文のコミック映画」という感じでした。
とにかくギャグのベタさがすごくて「人がひっくり返る」、「人が屋根から落ちる」、「頭からペンキをかぶる」、「顔にケーキをくっつけられる」などのストレートすぎる表現が多い。さらに、山田太郎のトタンでつくった雨合羽や目が髪の毛で隠れちゃってる柔道部員の髪型を忠実に再現するなど、謎の努力もはらわれている。


今見ると笑えるし、それなりの役割を認めもするが、70年代後半というと日本映画が世間との感覚のギャップを露呈するような企画ばかりで、なおかつ世は一方でオタク、一方でわたせせいぞう的オシャレ、そしてまた一方で「銀蝿」的ヤンキー文化などが開花する時期である。さらに、今みたいに各方面全部元気がないわけじゃなくて、日本映画だけずんずんと他の世界へ行ってしまいそうな感じがあったことを思い出す。


鈴木則文はすごい監督だと思いますけどね、なんでコミックの映画化というとこの人だったんだろうという感じはしますね。
私が見た中では「コータローまかりとおる!」は、原作のベタギャグと鈴木則文的感覚はけっこうマッチしてたと思うんだけどね。