「鶴岡法斎のエログロ・ハイセンス Vol.3」〜9/18 於:NAKED LOFT

9月18日(日)、NAKED LOFTで行われた、鶴岡さんのマンガに関するトークイベントに、前回に引き続きゲストとして出させていただきました。


そのレポートです。
ただし、ゲスト参加者としての感想ですし、私自身壇上で緊張もしていたので客さんとはまた違った印象かもしれませんし、記憶違いがあったらご指摘ください。


冒頭、鶴岡さんが「自分におけるマンガ評価のスタンスは、ジャングルの奥地に入って珍しいものを見つけてくるというのではなくて、そこら辺に生えている苔などに着目していく研究者のようなもの」と言ったように、持ってきたマンガ群はコンビニや書店で普通に手に入る、それでいて一般的なマンガ評論文脈からはあまり出てこないものが多かった気がします。
勝新太郎の実録モノやパチスロマンガなど。そして徳弘正也「ターヘルアナ富子」、「狂四郎2030」など。
活字本としては、稲川淳二の怪談本がありましたね。


稲川淳二のしゃべりって、東京育ちの人間にとっては実に懐かしい感じなんですよね。恵比寿生まれだということですが、たけしや高田文夫に近いイントネーションなんです。
現在、テレビでは関西系の芸人が多く、また昔の東京弁もなくなりつつあるので、稲川淳二の語りってすごくしっくりくるんですよ。また、シャレっ気があるんですよね。稲川淳二の怪談話も「そこら辺にあるもの」なんだけど、あらためて聞いたり読んだりしてみると考える部分はありますね。


釣りバカ日誌」や「じゃりん子チエ」の話があったりなどして、実に普通のたたずまいをしているマンガなんだけども、あまりテキストやトークには乗らないものを解説していくところに興味深いものがありました。
また、「萌え」に関して「子供の頃、ピンク・レディーにハマったら萌えには走らず、キャンディーズにハマったら萌えに走るのでは」というたとえが面白かったです。


私としては、飛び道具的なマンガを紹介。ひとつは前回コロコロものが評判がよかったので「3D甲子園プラコン大作」。事前に「愛のないツッコミってイヤだよねえ〜」と話をしていたこともあって、私もTPOでは意地悪モードでツッこむこともあるんですが、今回は素直に「クライマックスでは感動した」と言わせてもらいました。
言葉足らずだったかもしれませんが、本当に私はこの作品を「リアルとは、そしてファンタジーとは何か?」をテーマにした作品だと思っています。それはファーストガンダムがドロップされてジャリ文化に多大なる影響を及ぼした、同作連載時の80年代前半から中盤にこそ問われていた問題だったと思うんです。その辺、うまくしゃべれたかな……。


また、時間もだいぶ遅くなってから奇妙グルメマンガ「チャンプのディナー」も紹介。まあ、これはかなりハイストレンジネスな作品ではあるんですが、夜遅くなってからの気付けにでもなればと。
持ってくる本の役割として、そういう全体の流れに緩急を付ける刺激剤みたいになっていればいいかな、と思いました。


私個人は、トークで反省点がありました。まず緊張していたことと、どの程度話を自分方向に引きつければいいのかわからなかったので言葉足らずの部分があったこと、それと……笑かそうと思ってだいぶ滑りました! すいません! 当然ですが私がネタフリして自分で落として滑ったところはぜんぶ私の責任です。はい。


壇上の印象としては、今回の鶴岡さんはかなりノっていたのでは、と思います。10時過ぎたあたりでトークにドライヴ感が出てきたように感じましたよ。
出させてもらって、実にいろいろ勉強になったイベントでした。