M-1グランプリその3〜お笑い番組(バラエティ)としてどうだったか

この番組、裏でやってたフィギュアスケート並みのガチで細かい審査、ファイナリストあるいは優勝者になったときに得られるステイタスなどで、テレビ漫才史上(と、言いきっていいだろう)かつてないほどの緊張感に満ちている。
しかし、人間あんまり緊張すると笑えなくなっちゃうよね。


で、私はやっぱり司会の今田はすごいと思うんですよ。
緊張感を保ちつつ、出場者にツッコミ入れたりできるでしょ。
ここ数年、審査員として紳助や松本が入るかどうかが話題になってたけど、
もしかしてそれ以上に重要なのは今田が司会で出られるかどうかかもしれないですよ。


あと、演者が終わった後に、「面白かった〜」って素直に言うでしょ。フルタチ以降の司会にありがちな変なレトリックいっさい付けないからね。あれも良かったですよ。
で、反対に松本が、みんなが麒麟のオチを絶賛する中で、彼が「最初にオチやってもまったく笑えないけどね」的なギャグを言ったんだけど、その場ではウケてたけど個人的にはやっぱり「えっ!?」ってなるんだよね。
お笑いに関しては小難しいことを言うのが松本、っていうイメージが、私にはありすぎるから。


それと松本のギャグが(私の中で)浮いちゃった理由として、審査員の並びで「どうでもいいことを言う」役割の人がいないんだよね。
去年か一昨年は、本人はそのつもりはなかったんだろうけど審査員としてのナンチャンってどっか観客をリラックスさせてたと思うんですよ。
大竹まこともテキトーなことを言おうとする人だけど、やっぱりあそこに割り振られてるのは「関東系シュールコントの祖」みたいな役割だし。
まあでも、あの緊張の空気を壊して笑いをとるのは本当にむずかしいと思うけどね。やっぱり今田はすごいんですよ。


あと、まあだれもがみんな思っていると思うけど芸能人席は本当にいらなかったなあ。
あれも視聴者の敷居を低くするための装置だと考えられるけど、その役割にほとんどなってなかったですよね。
あそこでバランス取るなら、やっぱり審査員席のバランスを考えた方がいいと思う。
変な比較だけど、「なんでも鑑定団」とかすごく鑑定団のキャラのバランスが取れてるでしょ。最近見てないけどいちばん人気があった頃はそうだった。なんかそういうのってあるから。


「どのくらい感動路線に針を振るか」は、バランス的にはあんな感じでよかったんじゃないかと思う。
紳助はぜったいそっちに振りたい人で、あ、また松本の話に戻るけど紳助がそういう人だから、本来松本もすごいやりにくいはずなんですよ。松本はお笑いに対してストイックではあるけど感動路線にしたいわけじゃないでしょ。
でもそれを「やりにくい」と感じてやってないとしたら、やっぱり松本って他の同じランクのタレントに比べると自分の立ち位置をあんまり気にしない人なんだなあと思った。


あーなんかあまり面白いこと書けてないな。
後でビデオを見返すと、この番組って「独特の緊張感の中で笑いを取れるか」で勝負が決まる気がする。
誤解を恐れずに言えば、本来漫才を見るテンションじゃなくて漫才を見るような番組だから、演者がそれに合わせられるかどうかですよね。


ブラマヨの漫才をあまり見たことがなかったんで、そういえば録画して見ていなかった「笑いがいちばん」にブラマヨが出ていたなーと思って後から見たんですが、
漫才のパターンはまったく同じだったけど、そこは「日曜お昼のオバサン向け」に合わせてたもんね。
いやもしかしてテンション的にはこっちが普通で、
M-1でどれだけあげられるかということなんだろうけど。


どんどん話はそれるけど、だからM-1ってもともとハイテンションの芸風の方が有利で、
だからこそタイムマシーン3号が残念だったと思う。
品庄もそうでしたが、
今年のM-1は「ハイテンションなのになぜか今いちその『場』と噛み合わない」っていうもどかしさを感じることが多かった。
それで見返すと、最終決戦で麒麟笑い飯がわざとテンションの高いネタを持ってきてるのとかわかるんですよね。
だから後から考えると、あらためて笑い飯ブラマヨは僅差だったなと。


と、結果的に番組の競技的側面に話が移って終わる。