4月の改変を見ながら何となく総括

2006年の新年度。テレビ番組をすべてチェックしているわけではないが、個人的には「爆笑オンエアバトル」、「リンカーン」、「笑いの金メダル」が揃って継続することになったのには一種の感慨があった。
ここらでひとくぎりということで、テレビのお笑いブームを簡単に概観してみたい。


なお、あくまでも関東での雰囲気、空気を見てのテキストです。関西とだいぶ温度差あると思うんで。


まずブームはいつ頃から始まったのか、なんですが、
とにかく、核となるコンテスト番組がないと定着しにくいのが関東のお笑いだと思う。
というわけでことの起こりはNHKの「爆笑オンエアバトル」だと思うが、実は第一回でDONDOKODONが優勝していたなんて自分は知らなかった。意識して見たのは「ルート33」が優勝した2000年頃ではないだろうか。
また、一時期のオンバトの「顔」とも言えるテツトモが1999〜2003年の間、オンバトに出ていたらしく、「なんだこれは!?」と視聴者が思い始めたのは2000年頃からではないかと思う。


ということで、たぶん現状のお笑いブームは2000年から始まったという仮説を立ててみた。


2001年にはM-1グランプリが始まって優勝が中川家M-1の出現がブームに拍車をかけたことは間違いがない。
同年、「はねるのトびら」が4月から始まっている。


通常、70〜90年代にはブームはだいたい1年〜3年くらいと相場が決まっていた。ところが、最近は使う方もうまくなってきたのか、ブームは簡単に終わったりしない。
2003年4月からは「エンタの神様」が始まっている。おっさんの私にとって面白いのは、昔の感覚で「もうブームも終わりだろうな」と思える、2000年から3年以上過ぎたところからこの番組が始まっていることである。
個人的にあんまり好きな番組ではないが、ブームの継続にひと役買っていることは間違いない。


というわけで、テレビのお笑いブームは2000年からまる6年も続き、3年単位でみると(「3年」という区切りに何の根拠もないのだが)3巡目にすでに入っていることになる。


一方で、コンテスト番組とはあまり関係ない人々の存在がテレビのお笑いを支えている。
ダンディ坂野オンバトに出ていたけどたいした記録は残していないと思うし、
カンニングってどこから出てきたの? 私が最初に見たのは「お笑いタイーガズゲート」だったと思うけど……。
HGも確か爆笑問題の番組からだけど一定時間をもらってやるネタで有名になったわけではないし。
次長課長も、(関東で知られてる)コンテスト上がりではないですよね。


こういう人たちが出てくるのがテレビの面白さであり、また必然であるとも思うわけですよ。


さて、今後どうなるのか?
とりあえず「オンバト」以外、「リンカーン」と「笑いの金メダル」は、両方とも若手芸人が集まって過剰なバカ騒ぎをする番組。しかもそれが両方残っていることに、なんだか考え込んでしまった。
私は「ダウンタウンに関してはいいかげん許してあげなよ」派なのだが、それにしても「リンカーン」はダウンタウンの松本が一段、お笑い界の王者の立ち位置をユルい方向にずらしたという、画期的(?)な番組であるように思う。
コレがそのまま世間に通るのか、どうなのかはお笑い界全般には影響がないとは思うが、興味深いところではある。


笑金」に関しては、実はどうしてこんなに長く続いているのか正直わからない。しかしまあ、けっきょく芸人やタレントがゲームするのがいちばん視聴率が取れるのなら、そりゃ「エンタ」も取るよなぁとかは思った。


他の番組の傾向をあまりマジメにチェックしていないが、とにかくネタ系のお笑いに変わるものが(ブームとして)テレビでちっとも出てこない気がしている。
M-1 は、正統派のブラマヨを優勝者にした時点で番組自体の延命は量れたと思う。毎回変化球の人ばかり優勝させていたら、毎年新味を打ち出さなければならなくなってどこかで息詰まるから。ただ、それがM-1から対世間、という広がりで見たらどうなるかはわからん。


なんか長々書いたわりには面白い文章にならなかったが、たとえば80年代のマンザイブームや90年代のボキャブラのブームっていうのは、そのままバラエティで通用するかどうかというのがイコール、生き残りの条件だった。
いや漫才だけで地道にやってる人もいると思うけど、紳助のコンビ解消は明らかに「自分はテレビのバラエティで生き残る」という決意表明だったと思うしね。
でも最近は明確にそういうわけでもなくなってきてる。たとえばフットボールアワーって、別にバラエティでそれほど活躍しているとは思えないけど、逆に凋落したって思っている人もいない。
M-1でファイナルに残ったり優勝したりというのは勲章だとは思うけど、「(「あるある探検隊」の)レギュラー」がそうなってないからといって、いちじるしく下に思えるとかそういうこともない。


まあ現場レベルではシビアに収入面から「売れてる/売れてない」って出てくるとは思うんだけど、観る側にとっては評価軸がいちじるしく多様化していると思う。
そのぶん、カリスマ的な芸人が若手からは出て来にくくなっているとも思う。


たけしとかダウンタウンみたいなね。
ダウンタウン(と、そのブレーン)は90年代のテレビのお笑い界を変えてしまったので、そのチルドレンである今の若手にカリスマ性を要求するのはかわいそうな気もするけど。
現在のブームって、ダウンタウンが東京に進出して売れた頃から観ないといけない長期的な現象のようにも感じるんで。
そうなると「ブーム」というより歴史的変化といった印象になっていくんですがね。


短期的には……どうなるのかね? 少なくともワンミニッツ的なコーナーをやらないなら自分はもう「笑金」は観ないと思うけど、こういう「日曜に何となく観られる番組」が何年も続くと、後続世代への影響というのはあんがい強かったりするんだよな。
まあ、もうちょっと様子を見ます(笑)(それが結び。)