http://d.hatena.ne.jp/nittagoro/20041020#p2
ちょっと自分で書いたここについてフォローさせてください。

やさぐれ日記暫定版
http://d.hatena.ne.jp/headofgarcia/20041022
ここに関連してね。


「自由恋愛」と「フリーセックス」と「買春」は性意識として同じくらいの割合だ、と解釈されるとちょいと困ってしまう。


要するにですね、最初から説明し直すと、
「一人前になるためにセックスする」というのと、
「一人前になってからセックスする」という価値観を、
日本では両方ゴッチャにしながら現在まで来ているということなんですよ。


前者は基本的に、少なくとも戦後は買春によって行われることが多かった。しかも、これは明らかに男社会の価値観です。「自分はまだ処女だから焦る」というシチュエーションもドラマとかでは見ますが、そうだなあ、三十年くらい前は少なくともそういうのはなかったのでは。
それと、若い子同士が愛し合ってコトに至るということもあったとは思うけど、別に両者に「一人前になるために」っていう意識はなかった。


後者は、避妊教育とかで論議になることなんだけど、要するに学校でコンドームを配って問題になったりする。なぜなるかというと、「未成年のセックスを公認していいのか」ということが問題になるわけで、なぜ未成年ではいけないかというと「一人前ではないから」ということになる。


まあ、マンガで言えばいちばん二枚舌だったのが梶原一騎
先々週の「トリビアの泉」でも、かつて連載されていたという「星一徹の人生相談」が紹介され、そこで星一徹は恋愛の相談に対し、恋愛自体を否定して見せていた。
この「人生相談」は紹介された部分は意外にやっつけ企画ではなく、梶原一騎の(子供に伝えたい)人生観を反映していた。


巨人の星」と「あしたのジョー」で貫かれていたのは徹底した「童貞主義」とも言える価値観。要するに、女の子を好きになるのも悪なのね。まあ飛雄馬は純愛みたいなことになったけど、ジョーは何を考えていたのかわからない。でも「ジョー」の価値観では、のりちゃんと所帯を持つのは一種の敗北で、葉子さんに告白するのも死の直前、しかも何とも口幅ったいやり方。


で、青年誌に移った梶原一騎が作品の中で何をやってたかというと、女をやりまくり、買いまくりなわけね(笑)。
実際の、梶原一騎と同時代の青年がどうしていたかというと、あくまでも「恋愛」とか「セックス」はあんまり推奨できないものであって、裏に売春文化がある。「裏街道」として、そういうシステムが男性社会を支えてた。


前述の「武田みけん星」で言えば、主人公が初体験の相手とするのは女教師だけど、初恋の相手は「温存」されるわけね。その処女性を守られる。悪い言い方をすると、男が美味しいとこどりしているわけです。「おれはヤるけど、おまえは処女を守るためにガマンしてろ」と。


戦後の「自由恋愛」と売春はほぼ完全に対立するものだった。それは恋愛してる女性にとっては当然かもしれない。だから、私が言っているのは「少年がラブコメに憧れるような時代」以前の話。
男性中心社会の話なんだよね。


あと「フリーセックス」って言い方に語弊があったのかもしれないけど、要するに「愛のないセックス」、いまだとセフレとか何とか、あれをOKとする価値観のことで、どこでもだれとでもできるという意味ではありません。
そんなにフリーな人はさすがに昔もいなかったし、あんまりフリーすぎると男はドスケベ、女は「おサセ」っていう存在としてランク落ちしちゃうんだよね。


それが、時代を経るとどんどんどんどん「自由恋愛」の価値がうなぎのぼりに上がってって、それとは逆ベクトルで風俗産業も流行るようになる。
でもこの両者は当然ながら相容れずに、現在まで来ちゃってるということです。


(まあ、風俗産業が「恋愛気分」を代替させる方向をいつも模索してる、っていう事情もあるんだけど。)


そうそう、それともうひとつ書くのを忘れてたのは、現代の「お見合い」の軽視ね。
今はどうだか知らないけど、数年前、会社勤めしていたときは、お見合い結婚した男性は恋愛結婚した男性より、男性内で低く見られてました。
女性がどう思ってたかは知らないけどね。
もちろん、見合いでも美味くいなかったらカースト制度では一番下ですよ。


それでまあ、男性も女性も、恋愛をやってきた人でも適齢期になると焦りはじめて、だから「あえてお見合い」とか「お見合いもアリなんじゃないか」みたいなふうに、まあ都心部の人間はいっぺん考え直したりするんだよな。地方だとまた違うと思うんだけど。


これらのことはすべて「恋愛至上主義」から来てて、恋愛至上主義批判も、確かだれかちゃんとした人が本に書いてます。だれだったかなー。
で、何で恋愛至上主義が、そんな言葉も知らない人でも無意識に受け入れることになったか、を説明した方がいいのかな。


あとでします。