とろう! 芥川賞!

芥川賞をとれるような文学を考えよう」
「どうやんの?」
「まず石原慎太郎にコビよう。主人公の名前は『石山しんたろう』。スポーツマンで男前、女にモテる。都知事までやってる」
「……」
「そして銀行に、なんかすごい政策をほどこす。『受付嬢のスカートは膝上三十センチ!!』とか」
「……」
「しかし、そんな石山しんたろうの政策にも欠陥が! なんと、受付のテーブルを透明にするのを忘れていた! これではミニスカートにしても、パンツが見られない!」
「……」
「そして絶望した石山しんたろうは、夜のハイウェイをぶっ飛ばす。ロータスヨーロッパで」
「右側方向から、すごい勢いで走ってくるバイク。ロータスヨーロッパに勝負をしかけようというのだ。バイクなのにすごいスピードだ。石山しんたろうはやっとのことでバイクに勝つ。
バイクに乗っていたのはすごいドライビングテクニックを持ったやつだ……そう思って、車から降りるとバイクが近づいてきた。ヘルメットをとると、峰不二子みたいな美女だった」
「その『峰不二子みたいな』っていうのは書くときにちゃんと違う形容になるんだろうね?」
「二人は意気投合、ラブホテルへ。しかし、ラブホテルの回転ベッドがあまりにも高速で回ってしまったために、女は放り出されて壁に激突して死んでしまう。
殺人のぬれぎぬを着せられた石山しんたろうは、ボロボロになりながら逃げ回るが、やっとのことでたどりついたのはオカマとロリコンカップルのアパートだった。しかし石山しんたろうは困った。オカマとロリコンが大嫌いだったから。
アパートの前で三時間もウロウロしたが、けっきょく逃げ続けるためには彼らの協力をあおぐしかないとアパートの部屋に入る。しかし、そこにはオカマとロリコンカップルが心中して死んでいた。遺書には『石山しんたろうが憎い』と書いてあった」
「そして、石山しんたろうが悩むシーンが200枚くらい続き、その果てに北海道の牧場で牛の出産に立ち会い、その感動的なシーンに今まで自分は何をやってきたんだろうか、と思って心が晴れて、テロを決意する」
「なんでテロ?」
「文学っぽいだろ! そのテロの内容は、加納典明のところに行って『おまえの頭ァ、海兵隊みたいだな!!』と言って来るという危険なもの。最後は石山しんたろうの死を暗示して終わる」
「最後に死んでしまったら、コビたことにならないだろ」
「だから、原稿にビスコをそえておく。『ビスケットあげるから、ヨロシクね』と」
「なんでそんなに満足そうなの!?」
(了)