無意味な推理小説を考える

「『ぜったいねえよ』っていう推理小説のトリックを考えよう」
「えーっ、でもたいていあるよ。犯人が探偵だった、犯人が読者だった、犯人が動物だった、モノだった、たいていあるし、『推理小説だと思っていたら推理小説ではなかった』というのも、探せばあるんじゃない」
「わかった。今考えた。『とがった氷で突き刺して、その氷はお湯の入ったポットの中に入れて溶かしてしまった。そして、『突き刺したことによって、被害者は首を吊って死んだ。』」
「『デスノート』みたい。あれって、ある程度死因をコントロールできるんでしょ」
「違うよ! 突き刺したことによって、『ウッ、く、苦しい』って言って死ぬんだよ」
「推理のしようがないよ」
「だから、探偵の推理も無意味なんだよ。得意の『無意味推理』」
「無意味推理?」
「事件を捜査して悩む探偵。うーむと考え込んで、ふと窓の外を見ると、そこにはネコがいた。わかった! わかったぞ! そうだネコなんだ!
犯人は、毒薬で殺したんだ!!」
「なんで死因が変わっちゃうんだよ」
「だって無意味だから。そして登場人物を集めて、名探偵が講釈を垂れる。集められたのは、もちろんそれまでにまったく出てこなかった人……っていうかそれ『ボーボボ』にあったな。じゃあ、まったく出てこなかった『記号』」
「文字とか記号とかもボーボボで使うよね」
「じゃあ、集められてもだれも来ない。一人だけ来てて、それ以外の人の代返すんの。鼻つまんで『ふぁ〜い』とか」
「なんで急にベタになるんだよ」
「まあとにかく、探偵が講釈を垂れるんだ。『挽肉300グラムです』とか」
「やっぱりベタギャグじゃん! それで『ハンバーグはもうできてます』とか言うんだろ」
「ハンバーグのつくり方を語ったあげく、『犯人はおまえだ!』って指さす方向に、オランウータンがいる。それはオランウータン型宇宙人だった。オランウータン型宇宙人は、地球侵略のためにオランウータンの中に混じって暮らしていた。某有名作品の犯人であるオランウータンも、実はその宇宙人だったのだ。つまり、某名探偵の推理も間違いだったことになるという、伝奇絵巻だ」
「じゃ推理小説じゃないじゃん」
「バカヤロウ!!(ビートたけし風に言いながら、相手の頭を叩く)」
(了)