「お笑い登龍門」3/1

古い話で恐縮です。
メインは東京ダイナマイト
2本やって、1本目はハチミツ二郎担当による松田の入社面接、2本目は「漫才のツッコミの代わりに、松田が『フィットネスストライダー』に乗ってエクササイズをする」というやつでした。


2本目を見て思ったね、


「これだーッ!!」


あまりにもぶっちゃけるとですね、テレビで本当の本当に私の好きなシュールネタって、もうテレビの原理的に見られないんですよ。
でもここに奇跡があった。


テレビでここ数年見てきた中で、私がいちばんのシュールネタだと思っていたのはさくらんぼブービーの「ババヌキをしているうちに、アンディ・フグの入場曲(タイトル知らない)の絶唱に代わる」というものだったんですが、それと同じくらいか、むしろ越えてるかも。
越えてるっていうのは、まだよその番組でもやれるかもしれない、という意味で。


たとえば今、40歳近い視聴者の中で、昔はテレビで漫才・コントは楽しんだけど今のは面白くない、という人がいたとしたら、その中の一部は確実に「ダウンタウンが通った後、草木も生えなくなってしまったシュールの荒野」を見ているからだ、と断言します。


ダウンタウン以前にも、「象さんのポット」とかシティ・ボーイズのネタのいくつかとか、あと宮沢章夫の手がけた番組とかいとうせいこうとかビシバシステムとか、現在「シュール」って言われている笑いはいくつかありましたが(たぶん、どマイナーで終わったと思うけどケラもやってたよ確か)、ほとんどぜんぶ東京の小劇団系の笑いだったと思います(この辺アヤシイけど、たぶん)。


で、ダウンタウンが「ごっつええ感じ」をゴールデンでやって、スタッフに関西系の人がどれだけいたかはわからないけど、少なくともダウンタウン本人は関西人ですよね。
ダウンタウンが「ごっつ」をやった意味は、私にとっては「それまで『シュール』で片づけられてきたものを、メジャー路線に乗せた」っていうことなんですよね。
いや、実際の影響はどれほどのものだったかはわかりませんよ。番組そのものは、意外に早く終わってるし。


でも、それまでほとんど深夜枠でしか見れなかった実験的なコントを、日曜日の夜にやってたわけですから。
深夜枠のコントって、80年代終わりから90年代初頭あたりまでやってる方も見てる方も「これはおれたちだけがわかってる」っていう自負があったと思うんだけど、それを崩しましたから。


これは意識改革としては大変なものだったと。
同時に、「作品における、シュールの溶け込ませ具合」が「ダウンタウン基準」になってしまったのではないかと思っていて、「テレビでここまではあり、ここからはナシ」っていうのが、……まあ別にガイドラインとかはないんだろうけど、無意識にあるんじゃないかと思います。


だから、その後に「もっとシュールネタやりたい、無意味方向に走りたい」っていう人は、それまでのメジャー/マイナーの基準が崩れちゃったから、やりにくいんじゃないかなあと勝手に思っていて、それだからこそ堂々とその路線でやってる人ってリスペクトします。


あと、猫ひろしと三拍子が出たらしいんだけど忘れちゃったなあ……。三拍子、ほんと面白い。がんばってほしいとしか言えない。
猫ひろしも、私の基準ではシュール芸に入るんですが「体育会系クラブの出し物的ヤケクソさ」でそれをうまく包んでいる感じですね。