呪い少年闇太郎

第一話「細いめがねのニヤニヤ青年」
呪い少年闇太郎。
それは、「そばとミニ天丼セット」との禁断の契約によって、恨みのある人間に呪いをかけることができるようになった少年である。
ふだんは、流れ作業で生計を立てている中年男だが、
ひとたび「恨み」が発生すると、闇太郎に変身する!!


今日も闇太郎(変身前)は、バイト先の学生と帰りの電車が一緒だった。
細いオシャレめがねをかけた、いけすかない青年だった。
いつもニヤニヤしていて、むかつく。
電車の中で、仕方なく話をする。
「昨日、サッカー見た?」
すると青年はニヤニヤして、「ええ、まあ」と言った。
「何? 興味ないの?」
そう聞くと、青年はニヤニヤしながらだまって電車の窓の外を眺めている。
闇太郎は知っていた!
彼がものすごいサッカーマニアであることを!


要するに、この青年の沈黙は、「おまえみたいなシロウトと話ができるか」ということを意味しているのである!!


他にも、シュミ的なことを訪ねたら(例:なんだかよくわからない海外のバンドの音楽を聴いたりするなど)、
やっぱり同じような行動を取ってきた!!


ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベーコンはカリッとあげてね!!!!!


エンタ出たい!!!!!!!!!!!!!!!!!


闇太郎は、次の駅でニヤニヤ青年と別れて、電車を降りた。
そして「呪い少年闇太郎」に変身!
改札を出てから全速力で電車と併走した!!
青年の住むアパートは、闇太郎の最寄り駅から2つか3つ、先である。


闇太郎は先回りして、青年のアパートへ行った(呪い少年能力により検索)。


フローリングで、家具を黒で統一したいけすかない部屋だった。
なんか、女の香水みたいな匂いもした。
意外に、本もCDも少なかった。


まず、タンスを開けて中に「呪い小便」を1リットルくらいした。
次に「呪い食欲」により、冷蔵庫の中のものを生肉も含めてぜんぶ食った。
さらに「呪いテレビチャンネル固定」により、テレビのチャンネルが東京MXTV石原慎太郎会見しか映らないようにした。


小さいラジカセがあったので、「呪い光ファイバーコミニュケイション」により、ラジオに合わせてもCDをかけても「プラレス三四郎」の歌しかかからないようにした。


やがて、ニヤニヤ青年が帰ってきた。
呪い少年闇太郎は堂々と応対。
「お逝きなさい!!」
オリジナリティあふれるキメゼリフで青年を圧倒。


青年は不法侵入者にあっけにとられていたが、「呪いテレビチャンネル固定」と「呪い光ファイバーコミニュケイション」にはあまり腹を立てなかった。
それより激怒したのは「呪い小便」だった。


「フフフ、まあそう怒るな、そんなに怒るなら呪いをといてやる」
闇太郎は、手にもったミンキーステッキをくるりとふった。


三秒経過。


「これで、『呪い小便』は『普通の小便』になった。よかったな、私が慈悲深くて」
闇太郎は、青年の肩をポンと叩くと、部屋を出た。


夜空には、星。
「あーあ、いまいち非情になりきれないのがオレの弱さかな……」


残された青年がひと言。
「小便に変わりはないじゃん!!!!!」


ガビーン。


(終わり)