柳VS岩倉
「神秘系」な練習風景
http://www.youtube.com/watch?v=tib2Urowsdc
総合格闘家との悲惨なガチ
http://www.youtube.com/watch?v=bQeUkUO5ZPo
話だけ聞いて実にイヤな気持ちになって(だって最初からボコられる結果をあまり見たいとは思わないから。コレは超能力は手品だ、とデバンキングするのとはちょっとニュアンスが違うと思う)、映像をしばらく観ないでいたのだがけっきょく観た方がスッキリするだろうと思って、観た。
やはり、観た方が結果的にはスッキリしました。
私自身の感想としては、コレは土俵にあがった柳氏の責任(自己責任)というものはまぬがれないだろうと思う。
彼には神秘系の人の「ズルさ」みたいなものが欠けているように思うのだ。
逆に言えば、口で言うだけ言ってぜったいに土俵に上がらない神秘系、あるいは独自の理論体系でやっている格闘家などは、
「あ〜あ、オッチョコチョイが出て来ちゃったよ」
と嘲笑しているかもしれない。
あるいは、そういうオッチョコチョイは武道界にけっこういて、
トラブルを避けるためにまともな人たちがそっとしておいているのかもしれないが、それは知らない。
たとえばマンガ家の板垣恵介が、ここまで「神秘系」ではなくても「極真とか柔道とか、そういうのとウチは別です」という看板をかかげている格闘家何人かと対談した本がある。
さすがに手を触れないで敵を倒す、などとは言わない人でも、
宇宙とか「気」とかの概念を持ち出す場合も少なくない。
が、驚くべきことに、その中の複数の人間が、
「自分たちの理論を理想的に実践しているのはグレイシー柔術」
などとのたまっているのだ!
これにはあきれた。
グレイシーの思想大系まで知らないが、「宇宙」とか「気」とかいった概念からもっとも離れたのがグレイシー柔術であるかのように、自分は思っていたからだ。
だが、まあ同時にそういうことを言う人々はしたたかだとも言えるわけだ。
その時代にもっとも「旬」なものを引き合いに出して、「あれは我々の理論を無意識に実践している」と言えばタダで宣伝ができるようなもの。
えーと、何が言いたかったんだっけ。
これは特別なことではないと思う。
たとえば市原海樹だって、ホイスとやる前にはぜったい勝てると思っていたと思うし、当時一発もパンチを当てられない、なんて少なくとも格闘技ファンはだれも思っていなかったのでは?
今回は逆で、だれも柳氏が勝てるとは思っておらず、そのとおりになったわけだけど。
(市原選手もそうとうエキセントリックな人格らしいがそれは置いておくとして。)
だから、柳氏はあまりにもありえないことをやっているからみんな嘲笑しているけど、もしも彼が自分のやっていることが本当に有効だと信じていた場合、試合の有りようとしては初期UFCと変わらないわけですよね。
初期UFCもそうとう悲惨だったし、あれをきっかけに道場しめちゃった人もいたらしいし。
なんかそういうことについて、いろいろと考えさせられる映像でした。
ただ、いかに彼に自己責任があるとはいえ、65歳のおじいちゃんが若者にボコボコにブン殴られているシーンは、
少なくとも笑う気にはなれない。
「笑えないトンデモ」ってありますよね。
たとえば日木流奈くんの件とか。
まあ、あれとはぜんぜん違う、もっとプリミティヴな、
「老人が殴られるところを観たくない」という意味で、
やっぱりこれは、私には笑えない。