テレビ特撮をめぐる問題についてわからないところまで書いてみよう

仮面ライダー電王」の第1回が放送され、ネット評を見るとおおむねいいようである。
私もけっこう楽しんだ。
そしてライダー(「戦隊もの」よりもライダー)が始まったり終わったりする時期には、いろいろとオタク内で恒常的に行われる議論が持ち上がってくる。
それらに関して、知識不足ながら思うところを書いてみたい。


・「大人の鑑賞にたえる特撮は必要か」
この「大人の鑑賞にたえるか否か問題」はずいぶんと長い間、断続的に議論されてきたように思う。
たとえば「ヤマト」が、「ガンダム」が、今までの子供向けアニメとは違うんだ、と世間にアピールする意味で「大人の鑑賞にたえる」というふうに言われてきた。
とくに特撮にかぎった場合、私の知識不足なので、実は自分の中で結論は出ない。


「オタクとはもともと、子供向けのものをオトナの(あるいは「オタク」の)視点で楽しもうとする姿勢を持っているので、わざわざ子供向けのものを大人向けにする必要はない」とする意見もある。
ただ、この辺は自分も本当によくわからない。
ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」などは今でも「大人の鑑賞にたえる」作品だと思うが、それが「大人向けにつくった」からかどうかがわからない(たぶん違うのでは?)


あるいは、「ガンダム」があらかじめ小学生向けとしてのみつくられていたら、ああはならなかっただろう。
富野監督のインタビュー、昔読んだが忘れてしまった。が、少なくとも中高生くらいの年代の視聴者は想定していたのではないか。
何が言いたいかというと、子供向けのものを子供向けにつくらない、というのは、普通のビジネス的に見てあきらかにおかしい。
しかし、そういうものがまったくなくなってしまうと、ちょっと味気ない気もするのだ。
これは「オタク向けの作品」にも言えて、
製作者にはオタク的クリエーターがオタク向けにつくるものをひどく嫌う人もいる。
でも、そういうものが無くなるのも寂しい気がする。


また、「子供は子供向けにつくっても振り向いてくれない。真剣に描けば、多少むずかしくてもわかってくれる」というようなインタビューもときおり目にするのだが、よくよく考えてみれば自分たちのつくりたいものをつくるための詭弁っぽい気もしますね。


・おもちゃ問題
「おもちゃを売りたいために内容がねじまげられてる」的な意見ですね。
これは、とくに響鬼のときにネット上でよく目にしていたんだけど、
アニメに関して言うとなぜかこういうことはあまり起こらない(気がする)。
制作工程上の問題かもしれません。
少なくとも途中で急に路線変更、というのはアニメにかぎってはあまり聞いたことがない。
(そりゃあることはあるんだろうけどね。初代ルパンとか、けっこう前半と後半でニュアンスが違うし。)


「おもちゃ」で、いちばんいろいろ言われたのはいわゆる「スーパーロボットアニメ」が週に7本もやってた頃で、
「30分間コマーシャル」だとか「ロボットプロレス」だとかさんざん言われました。
ただ、ネットがなかったからかもしれないけど何か作品をつくる体制に対する根本的な、深刻な議論になったことはあまりなかった気がする。
ああ、「響鬼」と似た感じだったのは何度も「宇宙戦艦ヤマト」の続編がつくられたときかな。
でも、あれも商売のやり方がまずかったからで、ヤマトというコンテンツをもっと活かす方法はあった気がするから、やっぱり議論の流れとしてはちょっと違うか。


コマーシャリズムの権化と思われるスーパーロボットアニメでも、みんなそれなりに楽しんでいた気はするんですよね。
コマーシャリズムの権化と思われる一部の萌えアニメの受け取り方にもそれは似ている。)


・脚本家問題
これは、どの程度脚本家がシリーズをコントロールしているかはっきりしないとよくわからないところがある、ということもあるし、
平成ライダーの場合はプロデューサーの色が濃いような気がするんですよね(「気がする」だけで確証はなし)。
脚本家の上に位置するプロデューサーとか監督の意向で、脚本も変わるでしょうからあまりどうこうとは言えない。
……というか、「平成ライダー」というものが個性的すぎるのでは、と思ってます。
というのは、たとえば戦隊ものでメインライターが武上純希でも、あと最近だれ? 荒川稔久でも、議論が起こるほど変わる、ということはないんですよね。
「戦隊」という枠組みはしっかりしているから。
それが、井上敏樹かそうでないかだけでもネット上でいろいろ言われるっていうのは、ちょっと平成ライダーが特異としか言いようがない。


まあ、よく考えたらテレビで日曜の朝、というだれでも見られる時間帯にやってるからいろんな意見が出てくるんでしょうね。
これが劇場版の特撮映画とかだと、グンと減りますから。
でも、よくよく考えると「大人の鑑賞にたえる」特撮ドラマをつくるとしたら映画がつくる体制としてはテレビより適しているんじゃないかな?


ということで、みんな劇場でやる特撮映画を見に行こうよ!! と変なシメで終わります。