その2 今日の話

今回は高橋の演技をじっくり見れました。
冒頭、青いドレスを着たサファイアが、男として公務につかなければならないと気づいた瞬間、ドレスを着た状態で男声になるんですね。
そのメリハリに気づいた。これはカッコいい。


逆に、7日にとても私が感動した、「男になったサファイアが、城に入るために女のフリをして今の王様の結婚相手に選ばれようとするシーン」がコミカルすぎてちょっとがっかりでした。笑いはとってたけど。
あそこは「わかる人にはわかる」って感じで良かったんじゃないかなあ。


藤本美貴と吉澤が一緒に歌うシーンが良かった。この二人って、娘。の楽曲であそこまでからむことないですよね?(あったらゴメン)
最近どうしても、娘。の歌だと高橋&藤本のツートップというイメージしかなかったんですが、藤本&吉澤の声はけっこう合ってるじゃん、と思った。


石川さんの牢番ピエールは、まああんな感じかなと。ダンスはああいう振り付けなんですね(辻のときに見たので、そのとき辻は踊れなかったから振り付けはわからなかった)。


安倍さんフランツは今日が初回ということで。やっていくうちにまたちょっと変わっていくんでしょう。
今日の印象では、石川フランツよりも安倍さんは「男性はこういう動きをするんだ」っていうのが固定観念としてある気はしました。
それが悪いってわけではないんだけど。
石川フランツは、あまりにも普通に考えて無い感じだったんで、それが衝撃であり感動でありすぎたというのはあります。
コントでも男の子の役はほとんどやらないでしょ、石川は。
それが男性役をやるという衝撃がどうしてもあって。
安倍さんが男の子の役、というのはまあありそうかなと。


脚本について。
再見したけど、まだ謎ですね(笑)。この脚本は。
牢番と魔女の内面描写が唐突だというのは、許すことにしました。そうでないと全員の見せ場がつくれないということがあると思う。


それよりわからないのが、サファイアの与えられた試練がなんだったのかということで。
男として、女としてというふうに、強制的に性役割を割り振られるということと、
最後に命を投げ出すことによって事態をおさめようとする、ということって、
よく考えたらまったく別のことなんだよね。


「敵を許せ」っていうのは、王妃から牢屋で言われたことでいちおう伏線はあるんだけど、
それとサファイアが王子として生きてきた苦労はまったく別問題だろうと。


さらにフランツとの恋愛があって、それにしたってサファイアが男にならなければならない理由ではないわけで。
この辺、すごくアクロバティックになってますね。


だから再確認するけど、この話はトランスジェンダーの話のようでいて、実はそうではない。
サファイアにとって「男と女、双方の魂を持つこと」は、もっと古典的な、ベタな「試練」なんだよね。
それが悪いとは思いませんが。


で、最後に「神」が出てきて、
「物語は終わった!!」
って宣言してしまうというのは本当は相当に強引な結末ですよ(笑)。
しかしそれは、冒頭が天上界みたいなところの話だというところでかなり無理矢理だけれどまとめられてしまう。
これは面白いというか、
芝居でしかできない話じゃないですかね。


よく考えるとすごい詰め込んであるんだよね。サファイアがふたつの魂を持っていることとシルバーランドのお家騒動とフランツとの恋愛ってそれぞれ本当は直接関係ないから。


でもミュージカルの手法を使うとなんとなく納得できてしまうんだよね。
それがすごいと思った。