M-1グランプリ

私にとっては、ここ数年いつの間にか流行っているという印象の新人漫才師の大会。
いやー「ハッスルハッスル」だっていつの間にか流行ってたしさー。みんな、私の知らないところで楽しいこといっぱい知ってるよねー。
以下、簡単な感想。
なお、ほとんどテレビでしかお笑いを見ない、不肖・わたくしテレビっ子視点の感想です。


千鳥
「中世ヨーロッパのマネを一人でやると面白い」というネタ。
去年のM-1だったかな? 初めて見たときにはシュールすぎて「なんだ!?」と思うようなネタをやってたけど、今年のテレビのネタ番組ブームで何度かネタを見る機会があり、見るたびに面白いと思ってたので期待してました。面白かったけど、一番手で緊張してましたかね? あと、何となく客層があったまってないというか、M-1独特の緊張感に包まれていたのがちょっと不利だったかなと思う。
ただ、まだ若いしすごいのびしろがあると思います。


タカアンドトシ
今年が結成10年目で最後の挑戦だそう。「爆笑オンエアバトル」でずっと見てきてるんですが、手堅い漫才が印象的。確かオンバトでも連勝を重ねてて、イメージだけど地道にやってることが花開いた感じです。安心して見れるし、たぶん何回見てもコンスタントに笑える芸風だと思う。


東京ダイナマイト
今回の勝ち残り組としては、ダークホース的存在だったと思う。たけしのナンセンス部分を引き継いでいるのと、引いたつっこみ、それと普通の東京弁でのやりとりということで(私は関東人なので)期待してたんですが、まず出だしの説明からコントに持っていくのがぎこちない印象だったのと、ネタがタクシーだったけど、今年テレビで見てきた印象としては、先生と生徒、美容師と客の方が良かったんじゃないかな?
それと、M-1のような緊張感に包まれた番組では、POISON GIRL BANDとともに、後ろに一歩引いた芸風というか、そういうのは単純に不利だとは思いましたね。
芸風的に、気負いがいい方に転がらないというか。
落選が決まってのインタビューでハチミツ二郎が「昨日、優勝できるかもしれないと思っていた自分を殺したい」って言ってたのが本ネタ以上にウケていたような。


トータルテンボス
実は、いちばん決勝進出が意外だと思っていたコンビ。だけど、M-1の事前の宣伝番組で「二人の仲のいいところを見せたい」みたいなことを言っていて、なんかそういうね、なごみ系みたいなテイストはいいんじゃないかと思った。
ネタは、ツッコミの方がかなりセリフをかんでました。
最初見たときは、ニセ東京弁みたいのが気になったけど、もう慣れました。


南海キャンディーズ
いやー、テレビで見た印象では客席が爆発してましたね。「火を恐れるサイ」のところで、完全に客席が一体化したかのような感じに(っていうか、私自身がテレビで見ていて引き込まれた)。それと「これはクリリンのぶん!」ね。この人たち、ツッコミが東京弁でボケが関西弁なんだよね。そういうのも珍しいし、ツッコミの語彙が豊富というか独特。
結果待ちのとき、インタビューでツッコミの山里が「カブイちゃいましたねー」って言って、インタビュアーの木村が返せず、「すいません、前田慶次でした」っていうやりとりがおかしかった。


POISON GIRL BAND
シブスタ」で見て衝撃を受けたコンビ。東京ダイナマイト同様、引き気味な芸風なんで、客と審査員が笑いどころを掴むのがむずかしかったというか、ネタが軌道に乗るまで時間がかかっていた印象。小朝が「テンポが一秒くらい早い」って言っていたけど、私も同感でした。走っちゃってましたねなんか。でも「慣れ」の問題だと思うんで、のびしろはあると思う。


笑い飯
意外に点が伸びなかった。ここ1年、これもテレビで見ただけの印象だけど、「Wボケ」というのが反則技に近くて、すごい変則的に見えて一本調子であるところが弱みだと思う。M-1以外ではけっこう普通の漫才やってたし。去年はヤケクソオーラみたいのが出ていて、今年は上手くなったぶん、パワーが落ちている気がした。


アンタッチャブル
東京ダイナマイトPOISON GIRL BANDとは逆に、大会で強いという印象。もともとけっこう好きだったんだけど、笑いたいから好きというより、雰囲気が好きなんだよね。ボケ的には新しいことはほとんどやってないのに、まあテレビから見た印象だけど、客を巻き込んでいくライブ感みたいのがすごいあるんだろうと思う。
もともと緊張感のある空間だからこそ、逆に山崎のボケがすごい客をリラックスさせるんじゃないかと考えます。


麒麟
敗者復活枠。テレビで何度かネタを見たけど、もともとどれも安心して見れるネタ。今回はちょっと変則的に変な歌とか入れていて面白かった。ただ、のびしろという点では確かにキツいところに来てはいると思う。


・優勝決定戦
アンタッチャブル
トップバッターとかぜんぜん関係なく、一挙に客席の空気を掌握するというか。アンタッチャブルは本当に不思議だよな……緊張とかもぜんぜん感じさせない。今回出たグループでいちばん堂々とやってたような。


麒麟
すいません、内容を忘れました……でも面白かったです。ビデオを見返してみないとなあ。


南海キャンディーズ
初回で爆発したんでどうなるかと思ったけど、堂々とやっていた。構成としてはたぶん3つくらいのネタを組み合わせていて、たぶん考え抜いて構成したんだろうとは思うが、散漫な印象はぬぐえなかった。パターン的に飽きられやすいのでは? という意見もネットで見たけど、中川家が飽きられないなら大丈夫じゃないかなあ。それは安田大サーカスにも言えることだけど。
二人の容姿ネタとかも多いけど、けっこうきっちりつくり込んでいるし、夫婦かカップルか、会社の同僚かわからない関係性というのは面白いネタをもっとつくれるんじゃないかと思う。





で、アンタッチャブルが優勝。完全にテレビ・ラジオしか見て来てないんだけど、伊集院のラジオでいじめ抜かれてさあ、ここまで来たっていうのは感無量ですね。伊集院のいじめネタって面白くもないのに、それに耐えてこそ今日があるってことだもんなあ。
ツッコミの人の方は、何年か前にどこぞのクラブイベントに遊びに来ているのを見かけましたよ。そういうことも思い出しますねえ。


M-1って異様な緊張感があって、たとえばオンバトみたいに、オンエアされたりされなかったりっていうのは一種の平均値をとることですよねその芸人の。
それはそれで、「トータルでどのくらい面白いのか」というのを計れる面白さがあるんだけど、M-1は一発勝負のスリルがある。
というわけで、自分が「ギャグ」ということについて初めて考え始めた頃を思い出しましたよ。それはかなり遅くて、二十歳くらいの頃です(うわーすごい思い出した)。


「どうせ生きるなら、笑っていこう」というふうに思ったんですよ。
まあ、お笑い芸人には芸に悩んで自殺しちゃう人もいて、「笑い」って決して健康に人を導くことばかりではないとは思っているんだけど、何となくそう思ったことを思い出しましたね。