【感動短編ストーリー】さよなら!! おばさん先生

おばさん先生は、いかにもおばさん、って感じの先生だ。
生徒の面倒見もよく、得意の手料理を振る舞ってくれる。
しかし、身体がすごく臭い。
なんか、アンモニアみたいな匂いがする。

だが、「くせえ!!」などと言ったが最後、首から下げたエビアンのボトルの中に入った殺人ウイルスをまき散らす。
おばさん先生は、もともとはアメリカ政府の研究所の一員だったが、殺人ウイルスを体内に取り込んだまま、なんちゃら言う放射線を浴びてしまったので、あらゆるウイルスに耐性ができたという、超人ハルクちっくな過去を持っているのだ。


今日もおばさん先生は、給食室の一角で鼻歌まじりに料理をつくっている。
その周囲はものすごいアンモニア臭。
他の給食のおばさんたちは、マスクを通して鼻を刺激する臭いに辟易しているが、殺人ウイルスが恐くて何も言い出せない。


しかし、そこに正直な少年がやってきて、
「王様は裸だ! 王様は裸だ!」と言った。
子供らしくない、遠回しな言い方だった。
おばさん先生は、もちろんそんなもって回った言い回しはわからない。空気の読めない人なのだ。


以前など、新婚三日目の夫婦の家に泊まり込み、泡盛を飲み過ぎてトイレと間違えてそこの家の机の引き出しにオシッコしてしまった。
また別のときなどは、「戦争はいけない」という授業の後に、興奮気味に「ランボー2」についてえんえんと話したりしていた。


そんな先生も、親の会社を手伝えと言われ、教師をやめることになった。
周囲の人間はホッとした。臭くて、殺人ウイルスを首から下げている人間など、正直そばにいてほしくない。
「どうせ最後だから」と、学校全体で盛大な「送る会」をやった。
この場でもおばさん先生は空気が読めなかった。


まず、すでに一杯ひっかけた状態でやってきた。
次に、大声で春歌を熱唱。
「安かったから」という理由で買ってきた、去年の戦隊ものの合体ロボットをその場で取り出し、合体させはじめる。
宇多田ヒカルって、太ったわよねェ」とすごい大声でしゃべる。
ギターをひくまねをしながら、とんねるずのなつかしのナンバーを次々と歌う。


「きよ彦はオカマか」を、もう一人の空気の読めない先生と議論する。


その場はドッチラケとなった。
騒いでいるのはほとんどおばさん先生だけで、後はみんなアンモニア臭に鼻をつまみながら黙々と料理を食べている。


「なんだよなんだよ、ノリ悪いなー」
おばさん先生は、不満げだ。
が、しばらくすると、
「あっ、そうだ!! 今日は家に帰って一人でオセロをやる日だった」
と言って、帰ってしまった。
「さよなら、さよならおばさん先生!!」
みんなは万歳三唱した。


そして、新任の教師が来た。
「おばさん先生」のお姉さん、「大おばさん先生」だった。
「大おばさん先生」は、いつも金切り声で奇声をあげている。そして、朝の「めざましテレビ」の大塚アナの調子が悪いとトマホークで通行人を切って回る。
それと、体臭はなんかすごい鉄の焦げたような匂いだった。
鉄工所の、パイプとかつくってるところの匂いがした。


ギョウザにマヨネーズを塗って食べるのが好きだった。


(この物語の教訓)
ウーパールーパー語は、むずかしい