M-1決勝進出者決定その1

http://www.m-1gp.com/


アジアン(吉本興業 大阪)
麒麟(吉本興業 大阪)
品川庄司(吉本興業 東京)
タイムマシーン3号(ケーアッププロモーション)
チュートリアル(吉本興業 大阪)
南海キャンディーズ(吉本興業 大阪)
ブラックマヨネーズ(吉本興業 大阪)
笑い飯(吉本興業 大阪)


今回、かなりネットで経過を追えていたことがあって、「今頃何言ってんだ」と思われるかもしれないが感じたことをいくつか書きたいと思います。


まず、このイベントってたぶんテレビ主導じゃないんだね。今頃知ったけど。もともと、中川家が優勝したときに「あの! M-1で優勝した中川家!」みたいな紹介の仕方をされていた時期に、実は私はM-1をよく知らなかったんですよ。


で、それまでのお笑いのコンテスト的番組って、関東圏では完全にテレビ主導のものしかなかったと思うんですよね。
あるいは、テレビでお披露目される前のオーディションはあくまでも舞台裏の話であったと(「ボキャブラ」なんかはそういう性質のものであったんじゃないか。オンバトだって、出場できるかどうかの基準は不透明ですから)。
ところが、M-1では準決勝までネットで公表されるから、マニアの人は青田買い的にだれがどういう評価をされていたか知っていたりする。
何が言いたいかというと、テレビとの関わり方が、それまでのテレビの関東寄りのメジャーシーンとは明らかに違うスタンスであるということ。いやたぶんこれは当たり前のことを言っているんだろうとは思うけど、
でも「漫才」っていうジャンルの、テレビとの関わりにおける特異性を物語っていると思う。


いわばテレビとテレビでないものの中間みたいな感じではないかと。
で、吉本の方針をよく知らないまま書きますがそれは吉本のここ15年くらいの方針でもあるのでは、と。
もっと半可通なことを書くと、たぶんワタナベエンターテイメントとかは完全にテレビ的な芸人を育成しているんだと思います。とにかく他の事務所も「テレビ」を無視しては成立できなくなってきて、


それは「プレーンに舞台芸として存在しているものをテレビで中継するというスタンスなのか」、あるいは「テレビを最初から標的にして芸を育成するか」という課題があらかじめあるということで、
落語や能、狂言なんかは、カメラを意識した実験的なことをしている人もいると聞きますが基本はやっぱり舞台で生で見るのがいちばんいいと思うんですよ。
あと、最近テレビでテーブルマジックが流行ってますが、あれももともとテレビで見せる芸じゃないと思うんですよねたぶん。マギー一門はちょっと違うとして、やっとふじいあきらみたいな「テレビ的」な人が出てきているけど、目の前で見たほうがぜったい楽しめると思う。


ところが現状の漫才って、「テレビで見る」っていうこともぜったいつくり上げるところから射程に入っていると思うんです。
で、さらにひっくり返すと完全にテレビに特化したものでもないと思います。
私はテレビに特化した芸人は「リアクション芸人」だと思ってますので。もちろん両方できる人もいますけど。


リンカーン」で、大喜利かなんかで困り果てた土田が「自分はボキャブラ世代」、「自分は芸人じゃなくてレポーター」と言うギャグがありましたけど、それは自分をテレビ向けにカスタマイズしていったという意味なのではないかと。


そんなわけで、M-1って関東ではいきなり決勝から始まるんですよ。今年は事前の特番やったのかな? でも基本は決勝からで。
でも、明らかにそれまでの経過にドラマがあることは、テレビで見ていてわかる。でもテレビだけではわからないというもどかしさがあるんですよね。
ドリフとかひょうきん族、欽ちゃん、あと文献によると「てなもんや三度笠」とかですね、ああいうのってテレビで映っていることがすべてなんですよ。でもM-1とか、あるいはM-1を形成しているものってテレビがすべてじゃないんだよね。それを毎年思う。
でも、かといってテレビで認知されないとどうしようもないところもあって。
たぶん、その矛盾が現状の漫才の面白さにもつながっていると思うんですよ。