M-1グランプリ個別感想

笑い飯
「ロボットの声まね」
面白かったじゃないですか!! 点数低すぎると思うなあ……。笑い飯は、「従来の漫才のパターンを壊した」というイメージがM-1で定着しているからか(「笑いがいちばん」とかでは案外フツーの漫才をやっているけれど)、審査員が厳しすぎる印象があるなあ。


POISON GIRL BAND
「島根と鳥取の違い」
これも大好きだった!! もっと評価されてもいいと思うな。シュールネタが好きな松本が高得点を付けたのと、大竹まことがそうでもない点数だったのが印象に残った。それは漫才に対する愛着の違いじゃないのかな、と思いました。
POISONの二人はもっとこのときの自分を誇っていいと思う。


ザブングル
「前のおばさんが邪魔」
実はけっこう色眼鏡で観てしまっていたんだけど、録画で見返したらじゅうぶん面白かったです。ただ「他に代わりがいるんじゃないか?」って思わせてしまうところが残念。
基本的に、私はブサイクな芸人が好きなので応援はしてます。


・千鳥
「象の飼育員」
「最後のオチはいらなかったのでは」という意見もありましたが、最後に伏線が活かされるようなオチというのは以前やっていた「幕末ごっこ」などとまったく同じパターンですよね。このネタだけそこをダメ出しされるのは辛い。
それと、このネタのオチが重要なのは、漫才全体に「ストーリーがある」と見せかけておいてスカシているところです。
あそこで、完全に「三つの動き」にストーリーが生じていたら、個人的にそれはコントや落語と同じになってしまって「漫才であること」の意味が消失してしまうと思うんですよ。
だから感心しました。


確か吉村智樹さんが、「コントは物語をつくり込んでいく芸であり、漫才は物語を解体していく芸である」というようなことをネットで言っていたと記憶しますが、この「象の飼育員」と、最近藤崎マーケットがやっている「フリからなかなかララライ体操に入らない」というネタは、まさにその「物語を構築しておいて解体させる」ということをやっているように思うんですね。
で、その対極に爆笑問題東京ダイナマイトサンドウィッチマンみたいなかけあいの会話の面白さを重視する芸風が対峙されると思うんです。


トータルテンボス
「ホテルのフロントマン」
爆笑オンエアバトル」でも観たネタ。いやーすばらしい。漫才内でコントをやるパターンとしてはほとんど最高峰の域に達しているのでは。
この段階では、個人的に優勝はトータルテンボスだと思っていました。


キングコング
「服屋の店員」
下のエントリにも書きましたが、確かに面白いことは面白い。キングコングは、漫才の実力を世に知らしめたということは言えると思います。
ただ、個人的にこういうコント風のネタで小ボケを積み重ねていくパターンは、アンタッチャブルみたいによっぽどはじけてないと好みではないんですよ……。
それと、かなり叫んでましたが、「熱演した方が盛り上がる」M-1という「場」を意識しすぎて仕上げてきているのがちょっと鼻についたのは否めませんでした。


・ハリセンボン
「お天気レポーター」
これも漫才内コントですね。私はハリセンボン大好きですが、M-1の場合、タレントとしての顔が見えすぎるとかえって不利になる気がするんですよね。
それは、「タレントとしての認知度を面白さに変換しているのではないか」という意識が観客に生まれるからなのではないかと。
ものすっごい極端なことを言うと、M-1においては「観客がけっこう漫才師の顔を知っている」ということは、壮大な内輪受けになってしまうわけです。演者も観客も意識しなくても、そうなってしまう。
「タレント」としてのパーソナリティが知られれば知られるほど、漫才がうそ臭くなってしまうんですよ。


かつての品川庄司や、今回のハリセンボンやキングコングはことM-1においてはアウェイなんですよね。そういう意味では。


ネタとしては、私は春奈が「何にも知らないくせに男慣れしているフリをしている女」で、はるかが「臆病な女」であるパターンが大好きなので、そっちをやってほしかったです。


・ダイアン
「何かのスカウト」
これは評価がむずかしい。「ザブングル」同様、「他にも同じくらい面白い人がいるのでは?」と思えてしまうんですよ。
たぶん、生で観た方が確実に面白い漫才ですよね、これ。
吉本は、こういう人たちはいきなりM-1のような場にあげて何とかしようと考えるのではなく、劇場だけで漫才をやって実力を発揮できて、なおかつ結婚もできて家の一軒くらい建てられるシステムを考えた方がいいのでは……。


敗者復活:
サンドウィッチマン
「街頭アンケート」
サンドウィッチマンとしては、そこそこの出来だったんじゃないかと思います。
Yahoo!動画に同じネタが上がっていますが、やっぱりゆったりした時間の中でやった方が面白いネタですよね。
でも好きです。


勝戦
トータルテンボス
「旅行代理店と客」
「緯度の高い世界一周」とかすごく面白かったし、決勝戦用のネタとして磨いてきたことも理解できましたが、懲りすぎてなんだかわからなくなった印象。後半、初見では意味がわからなかった箇所がありました。


キングコング
「台風レポーター」
ハリセンボンとネタがちょいかぶりしていたのに最初驚きました。
感想は1回目にやったネタとほぼ同じ。
西野のブログでは「来年も出る」って書かれていましたが、彼らに芽があるとすれば梶原の挙動不審な感じにズバズバとツッコミを入れていくしかないでしょう。
そこまでやらないと「アイドル漫才師」の壁は越えられないのでは……。


サンドウィッチマン
「ピザの宅配」
コントにした同じネタを「エンタの神様」でちょっと観たことがありました。でも二回目観ても面白かった。
個人的にはこの段階でも「トータルテンボスか、サンドウィッチマンか?」というふうに考えていました。


しかし、新鮮さで上回っていたのが有利にはたらいたと思います。
「迷ってて」「いやここに来るかどうかを迷ってて」というフレーズが最高でした。